VRChatでASMRを楽しむなら、実は「ASMR専用」イヤホンじゃない方がいいかもしれない話

前回の記事では、事前に収録されたASMR音源を自宅でじっくり楽しむ前提でイヤホンを選びました。ですが、VRChatの中でASMR的な体験(耳かきワールド、添い寝ワールド、ささやきでの会話など)を楽しみたい場合、実は選び方の前提がまるっきり変わってくるかもしれません。

結論:迷ったらこれ
  1. VRChatで使うならフラットな特性のモニター系イヤホン音の色付けが少ないタイプです。
  2. ワイヤレスなら低遅延コーデック対応モデル音と動きのずれを抑えられます。

「ASMR用」と名のつくものが常に正解とは限らない、というのがこの記事の結論です。

VRChatはすでに「耳元の立体感」を計算している

ここが一番大事なポイントです。VRChatは、アバター同士の距離や向きに応じて、リアルタイムでHRTF(頭部伝達関数)ベースの空間音声処理を行っています。誰かが自分の耳元に近づいて話しかけてくれば、その「近さ」自体はゲームエンジン側がすでに音として計算し、再現してくれているということです。

一方、前回紹介したASMR専用チューニングのイヤホンは、あらかじめバイノーラル収録された音源、つまり録音時点ですでに立体感が焼き込まれている音源を、より自然に聴かせるための処理を追加しています。この処理は、VRChatのようにリアルタイムで立体感を生成している音声に対して使うと、エンジン側の計算結果の上に、イヤホン側がもう一段別の立体感を上乗せすることになります。結果として、方向感がかえって不自然になったり、濁って聴こえたりする可能性があると考えられます。

VRC用途で優先すべきは「正確さ」

この理屈からすると、VRChat内での音声体験を重視するなら、味付けの強いASMR専用モデルより、フラットな特性のモニター系イヤホンの方が、エンジン側が計算した立体感を素直に、正確に届けてくれる可能性があります。DTMや配信用途でモニターイヤホンを使ったことがある人にとっては馴染み深い考え方かもしれません。「色づけをして良く聴かせる」のではなく、「元の音をそのまま正確に鳴らす」方向で選ぶ、というイメージです。

正直なところ、これはまだ実測で比較検証したわけではなく、音響工学的な一般原則とVRChatの仕様から導いた仮説の段階です。実際に聴き比べる機会があれば、追ってレポートしたいと思っています。

それでも見落とせない、VRChatならではの制約

音質の話とは別に、VRChatで長時間使う以上、無視できない物理的な制約もあります。

まず、ヘッドセットとの併用のしやすさです。オーバーイヤー型(据え置きの大きなヘッドホン)は、HMDのヘッドストラップと干渉しやすく、長時間つけると耳周りが蒸れやすくなります。VRChat用途では、カナル型(耳栓のように耳に入れるタイプ)のイヤホンの方が現実的な選択になりやすいです。

次に、遅延の少なさです。自宅でASMR音源を聴くだけなら多少の遅延は気になりませんが、VRChatでは自分やフレンドの声・アバターの動きとリアルタイムで同期している必要があります。ワイヤレスを使うなら、低遅延コーデックに対応したモデル(楽天)を選んだ方が、違和感の少ない体験になります。

まとめ:用途で使い分けるのが良さそう

「ASMR用」と名のつくものが常に正解とは限らない、というのがこの記事の結論です。用途に応じて、あえて色づけのない機材を選ぶという視点も持っておくと良さそうです。

この記事を書いた人:のの

Quest 3でVRChatを遊んでいます。ヘッドストラップはBOBOVRを愛用中。電子ドラムやMIDIキーボードでDTMもしています。

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